
週刊現代の記事で見かけて、急いで検索して、日本語訳のPDFファイルを見つける事が出来ました。2月中旬には一部の研究者しか持っていなかったそうです。3月9日に翻訳されたファイルが出来、その後ネットにアップされています。
最近ようやくTVで注意される、COVID-19のトイレ感染やエアロゾル感染など重要な事項が、2月末には、既に明らかになっていたんですね。
中国共産党体制と言うのは、自分の功績と名誉にする為、あらゆるタイムリーに共有すべき重要情報を秘密にし、自分たちの都合に最も良いタイミングで発表又は抹消する、そして、中央集権の上封建的であり、国民は権力によるコントロール対象であると思っている節があります。筆者は長年中国とのビジネスを経て、この点は痛感しています。
今回のWHO事務局長は、中国に忖度する事で知られ、中国の隠ぺい+WHOの忖度で、中国以外での感染拡大と死亡率の増加、そして経済的な崩壊による大国間の政治対立、世界的な混乱を乗じて、中国は日本海域などに魔の手を伸ばして行く、そんな構図が出来上がって来ています。
こと既に遅しですが、合同ミッション報告書には、どんな重要な内容があるかをチェックして行きたいと思います。
合同ミッション報告書の目標と目的

日本の神戸にはWHOの支部があります。このCOVID-19に関する39ページの報告書は、WHO神戸センターの公式サイトの、専門家向けのページにありました。解り難い作り方をしますよね、ワンクリックでタイムラインページから、調査や報告書や対策など、全て1ページで見つけられるようにして欲しいと思います。
ここで使っている「アウトブレイク」とは、一定期間において予想以上に病気が発生することを言い、集団感染やパンデミックの様な爆発的感染拡大等で使われる言葉です。さあ、書かれている目的は、どれほど世界に伝わっているでしょう。
ウィルスに関する調査結果
合同ミッション調査書には医学的用語が多用され、一般的な読者にとって慣れない表現が多いので、要点だけ抜き出します。●2019年12/30、武漢50歳男性から原因不明肺炎の気管支肺胞が採取された
●肺胞損傷が認められ、肺細胞の明らかな剥離と硝子膜形成を示していた
●急性呼吸促迫症候群(ARDS)を示し、肺細胞の剥離と肺浮腫があった
●検体はPCRでコロナウィルスの陽性でした
●ウィルスの全ゲノム配列を取得し、バイオインフォマティクス分析を行った
●コロナウイルスの中でも特徴があり、βコロナウイルス2B系統に属している
●コロナウイルス株BatCov RaTG13 との同一性が96%であった
●単離細胞感染性は、回復期の患者の血清で完全に中和される可能性がある
●アカゲザルによる実験で、感染が確認され、多発性肺炎を起こした
●12月末~2020年2月中旬に発症した各地域の患者から、104株の全ゲノム配列解析が行われ、99.9%の相同性が示された
少なくとも、2月末の段階ではサルに感染する事がわかっていて、再び感染拡大の媒体となる可能性があるので、日本で、サルが多く出没する地域では、行動観察して、注意する事が必要ではないでしょうか。
感染についての調査結果
合同ミッション報告書には感染者統計グラフがあり、google や yahoo の情報サイトでも確認できるので、グラフ関係は省きます。感染について、時間差はあるものの、我々一般人もTVなどのメディアを経由して、色々な情報を知る事ができています。●中国2/20までCOVID-19の症例55,924件の年齢幅は生後2日~100歳まで
●30~69歳の感染者が77.8%で最も多く、男性患者の全体比率は51.1%
●COVID-19は人獣共通感染ウィルスで発生源の市場の野生生物も追跡が必要
●自然宿主はコウモリ、識別されていないが複数の中間宿主がいると思われる
●感染経路は濃厚接触の中、飛沫及び媒介物を介して感染する
●空気感染は報告されていないが、特定環境に於けるエアロゾル感染がある
●糞便に於けるウィルスの生存が可能な事が実証された
●広東、四川の1,308例を含む344のクラスターは、78%〜85%が家族感染
●広東の予備研究から、世帯内での二次伝播の割合は3〜10%であると推定
●武漢の接触者追跡チーは1,800以上、各チーム最低5人の疫学者を含む
●2/17深圳で2,842人の濃厚接触者を全員追跡し、88人(2.8%)が感染
●2/17四川で25,493人の濃厚接触者の99%を追跡し、0.9%が感染
●2/17四川で25,493人の濃厚接触者の99%を追跡し、0.9%が感染
●2/20広東で9,939人の濃厚接触者を全員追跡し、479(4.8%)が感染
●上記重要地域で呼吸器疾患、発熱外来全員PCR検査を実施
●上記重要地域で呼吸器疾患、発熱外来全員PCR検査を実施
●広東省約320,000の発熱外来の0.14%がCOVID-19 陽性だった
●COVID-19は新たな病原体である為既知の免疫はないが、全人類に感染可能
●武漢では人~人への感染連鎖が成立した複数例があり、1/23に人口流動を止めた
●武漢以外の感染拡大は急速でなく、ソーシャルディスタンスによって報告例が減少
●感染は武漢との交通量が多い地方に集中し、家族によるクラスターが殆ど
●2/20の時点で、中国全土476の病院から医療従事者の感染が2,055件報告された
●医療従事者の大部分の症例(88%)は湖北省から報告されたものであった
●医療従事者の感染リスクの高さが確認され、守るための政策を改善して行った
●刑務所、病院、高齢者施設などの閉鎖的環境での感染が報告されている
●18歳以下の子供の症例は2.4%と低い
個人的に強調したいのは、2月末に分かっていた情報が我々一般人に共有されるまでの時間差の問題です。例えばCOVID-19は一定の環境においてエアロゾル感染すること、感染者の糞便に一定時間生存すること、この情報共有の時間差は、十分な感染予防対策の妨げとなっていたのではないかと、つい考えてしまいます。
中国は特に貧しい地域を除き、個人宅や民間施設、公共施設に至るまで、面積だけは日本の数倍もあります。エアロゾル感染に関しては、空気中の滞在時間はまだはっきりしませんが、広い国土を有する中国ですら院内感染が起こるほどなら、その25の分1しかいない日本は、病院も住宅も狭く、道路でさえ2~3mのものが多く、すれ違う歩行者は客観的にソーシャルディスタンスが不充分となるような地域も多く、エアロゾル感染のリスクは数十倍高くなる筈です。
ヨーロッパではフランス、イタリア、イギリスも、比較的に限られた国土に、高密度の都会人口と言う点では、日本と似ている部分があり、充分に感染予防対策をしなければ、中国よりもっと感染が拡大する事は想像できます。
筆者がいる東京は7月中旬に、クラスター、家族感染が増えており、単純に考えれば、その前には、誰かが会社や学校、若しくは何らかの組織団体でエアロゾル感染していたかも知れないと言う事です。
これから本格的な夏に移り変わるが、既に毎日のマスクで通学する子供の内、熱中症にかかってしまった子供達います。それでも、家の中でソーシャルディスタンスを置き、必要に応じてマスクをし、うがいする洗面台、トイレと床を常に除菌をして、感染から自らの命と家族の命を守って行かなければなりません。
人類は平和的民主主義に基づく文明社会から、いきなり極めて危険な新しいウィルスと戦う日々を突き付けられています。それは突然であって、誰もが心の準備が充分にできない中、多くの子供達を含め、一部の大人でも、心的ストレスが大きくなっています。
兆候、症状、病気の進行と重症度
COVID-19の症状は無症候性から、重症の肺炎、死亡まで幅が広く、2/20の時点で、55,924の検査確定例に基づく、典型的な兆候と症状には以下があります。●発熱 = 87.9%
●空咳 = 67.7%
●疲労 = 38.1%
●喀痰 = 33.4%
●息切れ = 18.6%
●咽頭痛 = 13.9%
●頭痛 = 13.6%
●筋肉痛または関節痛 = 14.8%
●悪寒 = 11.4%
●悪心または嘔吐 = 5.0%
●鼻詰まり = 4.8%
●下痢 = 3.7%
●喀血 = 0.9%
●結膜充血 = 0.8%
COVID-19は感染後平均5~6日で、軽度の呼吸器症状や発熱を含む症状が見られ、平均潜伏期間は5~6 日ですが、その範囲は1〜14日です。
COVID-19ウイルスの感染者の多くは軽症で回復します。肺炎以外と肺炎の症例を含む、検査確定例の約80%は、軽症から中等症である。13.8%が重症で、呼吸困難、頻呼吸≥30/分、血中酸素飽和度≤93%、PaO2 / FiO2 比<300、および/または24〜48 時間以内に肺野の50%を超える浸潤などの症状が見られ、6.1%が重篤(呼吸不全、敗血症性ショック、および/または多臓器不全/障害)であります。
無症候性感染の報告もありますが、まれに検査の後に発症するケースがあります。実際の無症候性感染の割合は不明です。
重症化および死亡のリスクが最も高いのは、60歳以上で、高血圧、糖尿病、心血管疾患、慢性呼吸器疾患および癌のような基礎疾患をもつ人達です。
19歳未満の年齢層の感染報告は全症例の約2.4%であり、ごく一部が重症(2.5%)または重篤(0.2%)でした。
2/20の時点で、55,924の検査確定例のうち、2,114人が死亡した(3.8%)。全体的な致死率は、場所と伝播強度によって異なり、武漢では5.8%に対し、中国その他地域では0.7%であります。
致死率は年齢とともに増加し、80 歳以上で最も高い値を示す(致死率 21.9%)。また、致死率は女性と比較して男性が高い(男性4.7%対女性2.8%)。
基礎疾患がないと報告した患者の致死率が1.4%であったのに対し、基礎疾患のある患者ではより高く、心血管疾患の人は13.2%、糖尿病は9.2%、高血圧は8.4%、慢性呼吸器疾患は8.0%、癌は7.6%でありました。
未知と解決すべき課題
中国での感染に対する制御方法や法規改正などは、本質が異なる民主主義国家ではどれほど役に立つかわかりませんので、報告書にあるこれらの内容を省きます。報告書が公開された2月末まで、取組むべき重要課題であるものの、まだ未知となっている情報をリストアップします。
●感染源及び自然宿主
●人への感染が最初に起こった際の人と感染源の接触
●ウイルスへの曝露状況を特定できなかった早期の症例
●医療現場以外でのエアロゾル感染(これは、7月の段階で感染するとされている)
●糞口感染(ウィルス生存を認めた段階で、水洗飛沫による感染はあると思うが?)
●発症前と無症状の症例
●有症状期間
●有症状期間/終了後
●感染の行動学的および社会経済学的リスク因子
●無症候性感染のリスク因子
●院内感染のリスク因子
●様々な感染状況の観察
●感染の動向と介入の動態(季節との関係性を含む)
●異なる種類の核酸検査 (PCR 法, 核酸増幅法(NAAT)、迅速検査)
●抗体検査および抗原検査の感度と特異度
●感染後の抗体価および抗体の持続期間
●集団における血清有病率
●重篤患者の臨床管理における体外式膜型人工肺(ECMO)の意義
●重篤患者における人工呼吸器管理のベストプラクティス
●重症および重篤患者の臨床管理におけるステロイドの役割の再評価
●良好な臨床管理と予後を規定する因子の同定
●中国伝統医療の有効性の判断(はっ?漢方か?)
●その他、治験中の治療選択肢の有効性の判断
●科学的根拠に基づいた感染制御戦略の意思決定と調整を提供する主要な疫学的指標
●さまざまな医療現場における感染予防・制御策の有効性
●出入国時のスクリーニングの有効性
●公衆衛生学的感染制御策の有効性と社会経済的影響
合同ミッション報告書の中から、必要な部分をピックアップしました。我々一般人は7月まで徐々にTVニュースなどで見られますが、既に2月末にあった情報なら、何故もっと早くに見る事ができなかったのでしょう。どこで何がネックとなっていたでしょう。
初期の患者や家族からの後遺症の話を、初めてネットで見たのが3月末~4月頃でした。感染が回復しても、後遺症があるなら危機感が更に上がり、公衆衛生を歌っているWHOは、直ちに調査すると思っていました。日本の厚労省も、インフルエンザとかSARS時のイメージであったのか、全く後遺症に対する調査は行っていませんでした。
逆に身の回りの人に「後遺症の情報がある」と言うと、デマだと一蹴されていました。一般人の直視したくない、認めたくない心理は別として、厚労省や感染症センターとか、新しいウィルスが発生し、感染拡大している時点で、治療と同時に、後遺症の観察をして行くべきでした。日本政府は高齢化してしまったのでしょうか。
自らを感染から守るしかありませんので、感染予防の対策を徹底して行きましょう。具体的な感染予防対策は別記事「【COVID-19】新型冠状コロナウィルスから身を守るあらゆる予防策」を参照願います。